法定後見

簡単な流れと特徴

すでに、認知症や知的障がい・精神障がいなどによって判断能力が低下している人を
支援する制度です。
自分でお金の管理や様々な手続きをするのが難しい人の代わりに、
後見人が本人の生活をサポートします。

本人に近い親族(配偶者・子・親・兄弟姉妹など)が家庭裁判所に申立て手続きをおこない、
家庭裁判所の「審判」という形で後見人が決定します。
本人からの申立てや、首長申立てといって、身寄りのない人に対し自治体が申し出ることもあります。
申立ての際に、後見人の候補者について希望することはできますが、決めるのは家庭裁判所です。
本人の状態や財産状況、必要な支援などから総合的に検討されます。
後見人を本人または家族で選べないという点が大きな特徴です。
また、一度後見人がつくと、本人が亡くなるまで後見活動は継続されます。
たとえば、施設入所や定期預金の解約・相続の手続きなど、
後見人をつけるきっかけになった問題が解決しても後見人がいなくなるわけではありません。
本人の判断能力が回復しない限り、後見人がつく状況は変わりません。

種類・誰がなる

判断能力のレベルによって、支援の種類が 「成年後見」「保佐」「補助」 の3つに分かれます。
子などの親族が後見人となるのはケース全体の3割弱です。
専門家の後見人(弁護士・司法書士・社会福祉士・行政書士など)が6割強、
社会福祉協議会やNPO法人・市民後見人など、また、複数の人が後見人になる場合もあります。

注意点

・後見人(成年後見・保佐)がつくと資格制限が発生して現在の地位を失います。
  医師・弁護士・税理士などの専門資格
  取締役などの会社役員・・・役員報酬が受けられなくなる
・相続税対策のためにアパート経営を始めたり、生命保険の加入、生前贈与、
  養子縁組などができなくなります。
・後見人は財産が減るリスクのある投資や投機的商品の購入といった積極的な財産運用はできません。
  また、子や孫への生前贈与や財産譲渡、多額の寄付など、本人の財産を減らす行為もできません。
  ただし、もともと生計を同じくしていた家族のための生活費の支出や、常識の範囲内での香典や
  祝儀は、本人の生活を左右しない限り問題ないとされることが多いですが、
  例えば、本人が施設に入るために自宅を売却する等の時は、家庭裁判所に事前に相談します。

手続きの流れ 

たとえば、親の認知症が進んで金銭管理が心配などと感じたら、まずは地域の「地域包括支援センター」や「社会福祉協議会の後見センター」などに相談して、制度の概要や手続き方法を教えてもらいます。
次に、家庭裁判所に対して手続きをする人(申立人)を決め、必要な書類を揃えます。
書類の作成や取り寄せ・申立て手続きは私どものような専門職に頼むこともできますが、申立人として親族の関わりが必要です。
提出書類のうち、本人の判断能力を証明する診断書は医師が作成するので、主治医などに依頼します。
書類の準備と平行して進めるのが、後見人の候補者探しです。候補者がいなくても申立てはできますが、後見開始までに時間がかかります。
申立てでは、家庭裁判所に出向いて事情説明。窓口や相談室などで担当者から提出書類をもとに色々と聞かれます。
申立て後、家庭裁判所の中で資料に基づき審理がおこなわれ、必要があれば「鑑定」(判断能力について診断書よりも詳しい内容が求められる場合)をして、1~2ヶ月で決定します。
決定後、2週間の不服申立て期間が過ぎて正式に後見人の就任が決定し、銀行や役所・施設などに対して本人のための様々な手続きができるようになります。
最初に動き出してから3ヶ月から半年くらいかかります。

申立ての費用

10万円から
家庭裁判所に提出する書類の収集や親族関係説明図、財産目録などの必要書類の作成と行った、やや困難で煩雑な作業を依頼者さまに代わっておこないます。
なお、申立書への記載と提出は依頼者さまにおこなっていただきますが、そこも誰かに依頼したい、忙しくて提出に行く暇がないなどの場合は、弁護士や司法書士をご紹介します。
その他に、裁判所に納める郵券代や登記手数料などの実費関係が1万円前後、プラス主治医の診断書代、家庭裁判所が必要とした時の鑑定費用が、病院によって違いはありますが10万円程度です。
また、戸籍謄本や住民票などの取得費用がかかります。